酒井順子が解く丙午の迷信
2026年に訪れる丙午イヤーを前に、酒井順子さんの新刊『ひのえうまに生まれて300年の呪いを解く』が本日発売となりました。この本では、丙午に生まれたことによる数世代にわたる女性たちの苦しみと迷信について深く掘り下げています。
丙午の迷信とは
丙午は60年ごとに巡る年で、特にその年に生まれた女性たちは「男を食い殺す」不幸をもたらす存在として忌み嫌われていました。結婚できなければならないとされる時代、彼女たちは結婚困難という運命に苦しめられ、「気が強い」「生意気」といったレッテルを貼られます。
この迷信の根源は薄弱であり、好きな男に会いたい一心で火事を引き起こした八百屋お七が丙午生まれだったことに由来しています。しかし、世間の人々はこの不幸の象徴を信じ続け、丙午の年が近づくたびに伝説に振り回されてきました。
時代を遡る旅
酒井順子さんは本書を通じて、昭和から寛文まで、各時代の丙午エピソードを掘り起こしました。昭和の丙午(1966年)では、前年と比べ出生数が25%も減少したことが記録されています。高度成長期の日本にもかかわらず、人々は丙午を気にして子どもの誕生を避けていました。また、明治の丙午(1924年)では、結婚不能に絶望した女性たちの悲しい出来事が多く報じられました。
文学の中の丙午
川端康成は、丙午生まれの女性に魅力を感じそのスピリットを称賛しました。しかし、夏目漱石はこの女性たちを小説の中で否定的に描写し、丙午生まれの女性の強さに対して厳しい見方を示しました。両者の対比は、丙午に対する文学的な視点による理解の幅を示しています。
幸福を追求する丙午女性たち
この本には、酒井順子さん自身の体験や丙午女性たちの声が反映されています。本書の特別収録では、俳優の鈴木保奈美さんや大阪大学教授の吉川徹さんとの鼎談もあり、丙午の特性とその意義についての深い考察が展開されています。さらに、酒井順子さん発の流行語「負け犬」との面白い関連性も明らかになります。
結論
著者の酒井さんは、丙午の迷信が300年間も女性たちに影響を与え続けた社会的背景を探り、それを解体する意義を強調しています。彼女は「他人の意見に従う感覚が丙午現象と深く関係している」とし、現在も続くこの感覚が将来の女性たちにどのような影響を与えるかを危惧しています。本書は、過去を知ることで未来への希望を見出す手助けになるでしょう。