新たな経営モデル「家庭内主従関係」の誕生
大阪市淀川区に本社を構える「ない株式会社」の代表岡シャニカマが、2025年7月1日付で自身の妻を会長に就任させるという大胆な経営改革を行うことが、株主総会で正式に決議されました。この変更により、妻が筆頭株主として51%以上の株式を保有し、会社の運営に対して強い権限を持つことになります。これを受けて、同社は「家庭内主従関係」を法人レベルへと昇華させた新しい経営体制を構築することに決めました。
家庭内の喧嘩が経営課題に
夫婦で経営を行う岡と妻は、共働きで家庭の事情も抱えています。ただし、岡は仕事に時間をかけることが多く、家事を分担する比率が不公平になってしまっていました。このため、妻は家事を主に担っており、その偏りから生じるストレスが夫婦間の不毛な喧嘩を引き起こしていたのです。2018年の調査によれば、夫婦喧嘩の主な原因は家事の分担とやり方だとされており、これは岡夫妻にも当てはまる問題でした。
新体制の目的と期待
今回の新体制において、妻が会長、株主であることから、家事に関する指示に反論することができなくなります。これは、家庭内での指示が「会長の命令」として絶対的であることを意味し、経営と家庭の境界を曖昧にします。こうした変化は不毛な言い争いを制度的に排除し、家庭環境の健全化を図ることで、企業全体のパフォーマンス向上に寄与することが期待されています。
夫婦の役割と動機付け
この新体制により、岡は家庭の運営により多く関与することになる一方、妻も会社の業績向上にダイレクトに影響を受けるため、企業としてのモチベーションが高まります。夫婦の絆が深まることによって、業務に対する理解も増し、互いの支援が業績に寄与するという相乗効果を期待しています。
基盤を整える経営者の挑戦
岡は、過去に何度も家事に関する喧嘩を経験してきたと話しますが、これは単なる個人の問題ではなく、企業のさらなる成長に向けた改革であると捉えています。今後は、「洗い物のし忘れ」などの家庭内の小さな事象も、経営会議の議題に上がる可能性があります。
このような新しい試みが他の企業にも広がることで、家庭内の協力や役割分担が見直され、より良い働き方が進展することを期待したいです。これこそが、今後の社会における新しい働き方の一端を担うことでしょう。
経営者や関係者の反応
MKTSグループの村上泰博氏も、この経営体制の変更を高く評価しています。家庭を企業の価値観に取り込むことで、経営判断の一貫性や心理的安全性が向上すると述べています。
このように、「ない株式会社」の事例は、企業経営と家庭の融合を図る上での新しいステップとして注目されています。今後の動きから目が離せません。